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ドラッグナイフ

編集: 2018/07/06

ドラッグといっても、怪しいドラッグではありません。

怪しい方はDrugで、ここで言うのはDragです。
Dragは引きずるとかいう意味ですが、紙やフィルムを切抜くブレードが自由に回転し、かつ刃先が回転中心から少しズラしてある刃物をドラッグナイフといいます。

イメージとしては左のようなものですが、刃先を回転中心からズラしてある(=オフセット)のがミソで、方向変換しても刃先が回ってうまく切れるようになっています。

調べてみると色々な形式があって、カッターナイフの刃を折って付けたような大きいのもあります。
原理が分かって、作ってみたいなと以前から思っていたんですが、刃は?、回転するように
取付けるには?など、具体的なアイデアが浮かばず忘れていました。

暇な時に(たいがいヒマですが) eBayを見ているとカッティングプロッタという製品が何種類かあって、交換部品として「ホルダー+ブレード3種類各5本セット」というのを見つけました。ローランドDGの製品用となっていましたが、¥600弱の驚異的価格に思わずポチッと注文!
 

フィルムの厚さやカットする文字や図形の細かさによってブレードを選ぶようです。

とりあえずスピンドルに取付けられるように、ホルダーの頭をø6に削って;

アップルマークを切り抜いてみました。

切り抜くシートは「エーワン手作りステッカー 29421」を使いました。
本来は白地のフィルムに印刷して保護フィルムを貼るタイプのものですが、白地のままでアップルマークを切り抜いて不要部分を取り除き、保護フィルムを貼ってハサミでカットしたものです。
写真は、キャビネットに貼ったものですが、保護フィルムがかすかに写っています。
りんごのカットがキレイでないのはシートの固定がうまくいってないのか、刃がしっかり保持されていないのか … 課題です!
カッティングプロッタの場合は、プリンタのようにシートが動くんじゃないかなとおもっいますが、現物を見たことがないので分かりません。
ただ、シートはプリンタのように出てくるだけでなく、戻る方向へも動く???

 

何だかしっくりこないな〜とebayを見ていると、他にもホルダーがありました。
替刃なしで、最初のと同じくRoland用となってましたが、形状・寸法が違います。
コンパクトで、スピンドルに取付けやすそうなので注文しました。

前のもそうですが、けっこう凝った加工をしてあるのにナンで?という価格です。

部品を外すと;
–  先端のキャップ(黒いプラスチック)
–  ホルダー本体
–  ナット(高さ調整、多分)
–  後ろのキャップ(高さ調整ナットのロック、多分)

ホルダー本体をバラしてみると、下のような部品が入っています;
右側の丸棒は、ブレードを交換する時に押出すためのもので、無くても構いません。
真ん中の黄色いのは、真鍮パイプにブレード後端のテーパ部を受けるベアリングと抜け落ち防止のネオジム磁石(強力!)が入っています。

ホルダーにブレードを挿入したところ;
先端には内径2mmのベアリングが入っていて、ブレードの外径が1.95mmなのでわずかにガタがあります。

最初のはホルダーを加工してしまったので、これは手を加えないでスピンドルに取付けられるようにアダプタを作ります。(固定の押ネジのための面加工だけしておきます)
アダプタにホルダとø6ピンを入れて押ネジで固定し、スピンドルに取付けます。
  

押ネジを加工してスピンドルに取付けたところ:

シートなどをカットするときは、スピンドルモータのコネクタを外しておきます。

 

 

 

 

 

 

数少ないフォロアー(!?)から、このところ投稿が無いという声をもらったので、とりあえずアップしました。
これからいろいろカットしてみましょう。

追記:
切り抜くシートをどう固定するか考えていたんですが、思いついて1mm厚のシリコンラバーを敷いてみました。
表面の摩擦が大きく、押さえられた時には更に滑りにくくなり大丈夫そうなので、直径90mmの丸いシールを切り抜いてみました。深くカットしても刃先がシリコンラバーに食い込むだけなので、ベースの表面精度もカバーしてくれます。
カッティングプロッタの製品もゴムローラとかで受けているのかもしれませんね。

下の左側はカット完了の状態。上下左右の黒いのは位置合わせの手書きマーク。
右側は、切り抜いた丸とその残り、シリコンラバー、ベースのアクリル板(黒)です。
念のため四隅をセロテープで止めましたが、ブレードが動いて行く時にシートがシワになったりすることもなく、きれいにカットできました。
送り速度は400mm/minですが、もっと早くてもいけそうです。
 

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iPhoneSE ケース

編集: 2018/05/08

以前に自作自慢の掲示板 に投稿させてもらいましたが、アクリル樹脂でiPhoneSEのケースを作りました。


最初に作ったのはアクリル板を彫り込んだものを接着してiPhoneを上から差し込むようにしたもので、形状を工夫して何度も作り変えたんですが、スッポリ抜け落ちそうで心配でした。
 
いくつか作っても、側面の音量調節と消音のボタンのために写真のように削ってあるのは同じです。

抜け落ちを心配しつつ使っていて、よく行くバーのマスターにその話をしたら、ボタン類を外から操作できるようにならないの?という助言(ほとんど強制?)がありました。

それは無理やろ〜と思いつつも、何日か考えて部分的に試作したりして行き着いたのが、今の全閉型(!?)バージョンです。

8mm厚アクリル板で、まず外側をCADデータから切削データに落として加工します。



これをひっくり返して内側を彫り込んで外形をカットすると、切削は完了。

たくさんの丸穴は放熱用(効果は不明!)、アップルマークはiPhone背面のマークが見えるように、他の穴はカメラやホームボタンです。
組んだ時にストラップを通せるように、左右の肩の部分に溝を入れてあります。
組み合わせるためのネジ(9ヶ所)は裏側から止めるようにして、表側はø1.1ドリルで下穴を明けてタップ加工します。
スイッチ用の上や左右の穴は、表裏をネジ止めしてバイスで保持して加工します。

スイッチ類は別に加工したものを嵌め込みます。上の方に見えるのはSIMトレイを引き出す穴のカバーです。最初はなかったんですが、SIMを入れ替えるのにケースをバラさないといけないことに気がついて、追加工したものです。
スイッチ類は小さくて削る時に固定するのが難しいんですが、CAMソフトでタブ加工というのができるので、思ったより簡単に作れました。

部品と母材をつないでいるのがタブで、タブを切って不要なところを削ります。

消音のスイッチは、iPhone側の出っ張りと合うように裏に溝を入れます。

表側にiPhone本体とスイッチ類を嵌め込んで裏側をかぶせ、M1.4のネジで固定すれば完成です。

このネジは、お世話になっているねじの松喜でもさすがにバラ売りは無く、100本入りが一箱972円でした。あと9個は作れます!

CADで図面を作る時にAppleの資料(Accessory-Design-Guidelines.pdf)を参考にしましたが、外形寸法は公差が案外大きく、例えば、iPhone SEでは、高さは123.83±0.2、
幅は51.70±0.2、厚さは7.60+0.25, -0.20 です。

最大公差に合わせて作るとガサガサになる可能性があり、内側の彫り込み加工は最終的に実物の寸法を測って決めました。
市販のケースは、ほとんどが伸縮性のある素材を使っているので公差範囲をカバーできるのでしょうが、アクリル樹脂では無理です。

もしも誰かに作って欲しいと言われたら、柔らかい素材を内側に貼っておくなどの対策を考えないといけませんね。
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